
『苧麻布』
苧麻の極細の手績み糸を使った、白い生地。
単糸で生成のものなら、1インチ(2.54cm)間に、経糸・緯糸合わせて150羽(本)という布が、今でも織れる。しかし、シャツや襦袢にするなら、130羽(本)位が丁度良い頃合だろうか。




糸づくりから織まで、昔ながらの手仕事が、今も続いているという意味で、
ほとんど奇跡に近いこの布を、これからも、服づくりに生かしていきたい。
最高の素材にふさわしい美しい形を布に与えたいと思っている。
先染の着尺地で、この糸を「経糸」にも使う試みは、2010年には、ほぼ完成する。
一つ残された大仕事―「経糸用の双糸づくり」は、第1回素材展から 5年、糸はようやく出来たが、
17ヨミ(34本/cm)のこの糸を織れる人が、なかなか見つからない。
今日、本物の上布を織ることの難しさを、痛感している。
-今年加わった新しい素材-
<芭蕉布ができた>
経・緯ともに芭蕉の糸。
芭蕉布というと、それだけで、特別な印象を持つが、ぜひ、手に取ってみてほしい。
しっかりした織り上がりの布は、厚みがある割りには、思いの他、軽く感じるはずだ。
<楮布ができた>
経糸は苧麻、緯糸に楮の糸。
楮は“布と紙は親戚”を実感する繊維。
織り上がった布は、ちょっと固いかな?という印象。
砧打ちをして、布を柔らかくすることと、経糸にも、楮の糸を使うことが次の課題。
<葛布ができた>
葛布はとにかく軽い。
この軽さを服作りに生かせれば、面白いと思う。仕上げに砧打ちをして、柔らかさと艶やかさを出す。
苧麻や、大麻よりも、この葛布が、“人間が最初に手にした、衣服の素材”と知った時は驚いた。
そう言われてはいるが、実際は多分、苧麻も大麻も葛もそんなに違わないと思っている。
ともあれ、始まりの布に敬意を表して、葛布づくりに精を出す。
<大麻布>
大麻布も、もうじき織り上がる。
経糸も、緯糸も、手績みの大麻の細い糸。
色白で、軽やかな布。
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